新型コロナウイルス感染症について、日本カトリック司教協議会が「感染症対応ガイドライン」を発表しました。今、北海道で感染者が再拡大し、危機的状況が目の前まで迫っている中で、札幌教区の教会活動において感染拡大を防ぐためにも、以下の文書を各小教区で共有お願いいたします。
リンク先(カトリック中央協議会のページ)
https://www.cbcj.catholic.jp/2020/1...
日本のカトリック教会における感染症対応ガイドライン
2020年11月1日
日本カトリック司教協議会
2020年初頭から世界中に拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国際社会に甚大な影響を与え、わたしたちの日常を劇的に変えました。感染し、命を落とされた方も数多くおられる中で、愛する人を亡くした友人に寄り添って慰めることさえできず、人から離れて過ごすことを余儀なくされました 1 。その一方で、この感染症と恐怖に挑み、支えと慰めを差し出す多くの手も目にしています 2 。世界全体が傷ついている中で、癒やしと収束に向けた多くの取り組みは、わたしたちがキリスト者としてなすべきことを省察し、行動するよう招いています 3 。
そのため、手探り状態での対応とはいえCOVID-19パンデミックを通して学んだことを整理し、同様の未知のウイルスなどによる感染症が発生した場合のリスクマネジメントについて、ガイドラインを定めることにしました。これをもとに、教区・地区・小教区の地域性や状況を考慮し、適応させてください。その際、感染症によって医学的な対応が異なることもありえますので、専門家や医療関係者の意見を聞くことをお勧めします。
本ガイドラインは、COVID-19への対応をもとに定められましたが、今後、未知の新興感染症が発生した場合については、必要に応じて改訂を行ってまいります。
感染症発生時のリスクマネジメント
①国外における感染症の発生時
日本国外において感染症が発生し、拡大しているものの、日本においては感染者が確認されていない段階。
小教区に対する注意喚起。
数週間以内に該当国への渡航歴のある信徒へのミサ出席自粛要請とミサ出席義務免除。
②国内における感染症の発生時
国内において感染者が確認されているが、国や都道府県による緊急事態宣言や営業・移動の自粛要請が出されていない段階。
小教区に対する注意喚起。
教会でのマスク着用(司祭も信徒も)。
不要不急の会議・行事の延期。
体調不良・高齢の信徒へのミサ出席自粛要請とミサ出席義務免除。
聖水盤の使用自粛。
聖堂入り口に手指消毒用アルコールを設置。
奉納の中止。
献金はミサの中では集めない。
平和のあいさつでの身体的接触(握手、抱擁、接吻等)の自粛。
聖体を口に受けることの自粛要請。
ミサや秘跡などを行う場合は、別添①「感染症流行下における秘跡・典礼挙行のガイドライン」を参照。
③国内における感染症の感染拡大
国内において感染症の感染が拡大し、行政による緊急事態宣言や営業・移動の自粛要請が出された段階。
○会衆が参加するミサの中止(会衆が参加しないミサは行うことができる)。
全ての信徒に対するミサ出席義務免除。
○原則として、上記のミサを除く全ての教会活動の中止。
○秘跡
洗礼、結婚、ゆるし:延期
病者の塗油:緊急性のある場合のみ、十分な感染症対策をとって行う。
○葬儀
遺族と相談の上、十分な感染対策を行えば可能。
*火葬のみ済ませ、葬儀は後日行うことも検討する。
④国内における感染症の流行継続
緊急事態宣言、営業・移動の自粛要請は解除されているが、依然として感染症が流行し続けている段階。
○以下のような感染症対策を行った上でミサを行うことができる(詳細は、別添①「感染症流行下における秘跡・典礼挙行のガイドライン」を参照)。
十分な社会的距離を保てるように人数制限を行う。
高齢者、基礎疾患がある方へのミサ出席の自粛要請。
全ての信徒へのミサ出席義務免除。
教会でのマスク着用(司祭も信徒も)。
ミサ出席者は入堂前に検温し、名前と連絡先と日付の記録を残す。
聖堂入り口に手指消毒用アルコールを設置。
共用の歌集や祈りのカードは使わない(撤去する)。
「聖書と典礼」や週報は戻さず、必ず持ち帰る。残部は廃棄する。
聖水盤の使用自粛。
ミサ中の換気に留意する。
会衆による歌はなし(感染を防げる十分な距離を保てれば、先唱または少人数の聖歌隊による歌唱は可能)。
説教は短く。
奉納の中止。
献金はミサの中では集めない。
平和のあいさつでの身体的接触(握手、抱擁、接吻等)の自粛。
聖体拝領前に、司祭も信徒も、再度手指の消毒を行う。
聖体を口に受けることの自粛。
○秘跡
洗礼:共同体をともなうミサの中で行うことが望ましいが、感染対策を充分に行う。
結婚:感染対策をとった上、少人数で行う。
ゆるし:感染対策をとって、司祭と回心者の距離を保って行う。
病者の塗油:十分な感染対策をとった上で行う。
○葬儀
葬儀:遺族と話し合い、十分な感染対策をとった上で行う。
○諸活動:
「三密」を避け、社会的距離をとって短時間で終わらせる。
⑤国内における感染症の減少期
対策は②「国内における感染症の発生時」の項に準ずる。
⑥国内における感染症の終息
通常の教会活動を行う。
感染症流行下における秘跡・典礼挙行のガイドライン
別添①
1.ミサのガイドライン
<ミサの前・ミサの後>
聖堂内の使用頻度の高い場所(ドアノブ、座席など)は、各ミサの前後に入念に消毒する。
聖歌集や会衆用式次第などは会衆席には置かない。
聖堂入り口の聖水入れは指示があるまで使用しない。
手指の消毒用アルコールを聖堂内の各所に用意する。
会衆は、聖体を拝領するときを除き、聖堂に入るときやミサの間、マスクを着用する。主司式司祭(少なくとも感謝の典礼の間)、共同司式司祭、助祭、信徒の奉仕者もミサの間、マスクを着用する。
一度のミサに出席できる人数と座席の位置は入り口に明示する。
聖堂入り口のドアは原則として開放しておく。ドアノブに人が触れた場合はすぐに消毒する。
会衆は聖堂に入る際、マスクを着用し、手指を消毒する。
会場係が参加者を適切に管理、誘導する。
会衆は、互いに「社会的距離」を確保することを原則とする。音楽担当者も同様である。
香部屋でのいわゆる「三密」の回避を心がける。手拭き(タオル)は共有しない。
パンとぶどう酒をあらかじめ内陣の祭器卓に準備する。チボリウム(ピクシス)の蓋は開けず、パテナとカリスにはパラを使用する。
聖櫃の扉や鍵、チボリウム(ピクシス)の蓋を消毒する。
使用したマイクを消毒する。
聖堂内、香部屋などで、司祭・奉仕者・会衆が、さまざまな物を共用しない。
<ミサ中>
司祭、助祭、奉仕者は常に社会的距離を保つ。行列、聖書朗読、感謝の典礼の際は特に注意する。
会衆による歌唱は当面の間、控える。可能であれば、先唱者や小編成の聖歌隊が代表して歌唱する。その際も、感染を防ぐため、社会的距離を保つ。必要に応じてオルガン演奏に代えることもできる。
共用の歌集や祈りのカード、朗読用聖書は用いず、『聖書と典礼』や使い捨てできる印刷物等で代用する。印刷物は隣の人と共用しない。
朗読者に信徒の奉仕者が伴う場合、朗読者との間に社会的距離を保つ。
朗読台に立つ者(朗読者、説教を行う司祭、共同祈願の意向を告げる者)はマイクに触れない。ハンドマイクの共有は避ける。
奉納行列は行わず、パンとぶどう酒と水、祭器などは、あらかじめ祭器卓に準備しておく。
献金はミサの中では集めず、ミサの前後に感染対策をして行う。
祭壇の準備を行うのは、信徒の奉仕者(侍者)、助祭、共同司式司祭、または主司式司祭のいずれか1名とする。
パンを入れたチボリウム(ピクシス)の蓋は閉じたまま祭壇に置く。カリスにぶどう酒を注いだ後は速やかにパラで覆う。
平和のあいさつのとき、互いの体に触れないようにし、手を合わせて互いに礼をする方法で行う。
聖体拝領前に、司祭と聖体授与の奉仕者、ならびに会衆はもう一度手指を消毒する。
共同司式の場合、共同司式司祭のために主司式司祭とは別のカリスを用意し、共同司式司祭は聖体を御血に浸して拝領する。
高齢または基礎疾患を持つ司祭が一人でミサを司式する場合、聖体の授与は行わず、助祭か他の司祭、もしくは聖体授与の臨時の奉仕者に委ねる。
聖体拝領に向かう行列では、会衆が社会的距離を保つよう心がける。通路の幅を調整し、可能であれば通路に目印をつける。すでに拝領を終えた人とこれから拝領する人とが交錯しないよう行列が滞りなく進むよう誘導する。
聖体を授与する司祭と奉仕者は、授与に向かう前に手指を消毒する。聖体を授与しているときに、信者の身体との接触が生じた場合は、速やかに手指を消毒する。
信者への御血の授与は控える。
拝領者には、立って、手で聖体を拝領するよう協力を要請する。拝領者は「アーメン」と答えてからマスクをはずし、拝領後はすみやかにマスクを着用する。拝領者が拝領前に一緒に「アーメン」と唱え、無言で拝領することもできる。
主司式司祭の祭器のすすぎは、主司式司祭自身が行う。他の祭器のすすぎは、助祭か他の司祭のいずれか1名にゆだねる。
退堂の行列のときも、社会的距離を保つ。
ミサ後、使用した印刷物は速やかに廃棄し、聖堂を清掃・消毒する。
適切な社会的距離を保てるならば、野外ミサを行うことは可能である。
<ミサに参加できない場合>
可能であればオンラインで配信されるミサを視聴する。
その日の聖書朗読箇所を朗読し、黙想する。
2.入信の秘跡のガイドライン
式は少人数で短時間に行う。
入門式中の十字架のしるしは、直接指で額に触れないようにする。
司祭が指で志願者に直接触れないよう、洗礼志願者のための油をしみこませた綿棒か脱脂綿を用いる。志願者が複数いる場合、綿棒や脱脂綿は共用しない。
洗礼式は、共同体をともなうミサの中で行うことが望ましいが、感染対策を充分に行う。
感染症リスクを避けるため、一度のミサで一家族ずつ、または一人ずつ行うことが望ましい。
志願者が複数いる場合、洗礼盤の使用は避ける。
マスクの着用は、上記のミサのガイドラインに従う。
洗礼を受ける子どもは親が抱き、代父母やそれ以外の家族は十分な社会的距離を保つ。
説教、朗読は短くする。
水の祝福の際、司祭は水や洗礼盤に手を触れない。水に手を触れずに十字のしるしをする。
白衣の授与は省略することができる。持参した白衣を用いることはできるが、共用の白衣を用いない。
ろうそくの授与は省略することができる。
司祭が指で受洗者に直接触れないよう、塗油の際は油をしみこませた綿棒か脱脂綿を用いる。受洗者が複数いる場合、綿棒や脱脂綿は共用しない。
3.結婚式のガイドライン
ミサの中で行う場合は、ミサのガイドラインに従う。
列席者は十分な社会的距離を保つ。高齢者や基礎疾患を持つ人が列席する場合は特に注意する。
できる限り少人数で行う。
司祭は新郎新婦と社会的距離をとる。
マスクの着用は、ミサのガイドラインに従う。
会衆による歌唱は控える。感染を防ぐため、十分な社会的距離を保った上で先唱者が歌うことができる。必要に応じてオルガン演奏に代えることができる。
結婚の誓約の際、司祭は新郎新婦と社会的距離を保つ。大きな声を出さないようマイクの使用が望ましい。
結婚の誓約の際、新郎新婦は互いに手を取り合うことができる。
指輪を交換する際、司祭と証人は結婚指輪に触れてはならない。特に司祭は指輪の祝福の際に注意する。
結婚証書への署名は、結婚式中ではなく式の後に行うこともできる。結婚証書に署名する人は全員、事前に手指を消毒する。署名する際は互いに社会的距離を保つことに留意する。筆記用具は署名する人数分を用意する。
結婚の祝福の際、新郎新婦は手を合わせて頭を下げる。通常の祝福と同じように、両手を新郎新婦の上に差し伸べて祝福する。
4.ゆるしの秘跡のガイドライン
ゆるしの秘跡を行う時間は、あらかじめ告知しておく。
感染症リスクを避けるため、一日に行うゆるしの秘跡の数を制限することが望ましい。
告白場の使用は極力避ける。やむを得ず使用する場合は、格子に透明フィルムを貼るか、カーテンを掛ける。
可能な限り、聖堂など、開かれた場所で行うことが望ましい。
司祭も回心者もマスクを着用する。
司祭と回心者が対面する場合、十分な社会的距離をとり、両者の間にガラスやアクリル板を設置する。設置できない場合、司祭と回心者は、飛沫による感染を防止するため、直角の位置に座る等、対面を避ける。
回心者同士の感染を防ぐため、椅子や跪き台等、不特定多数が触れる場所はその都度、丁寧に消毒する。
屋外でもゆるしの秘跡を行うことができるが、回心者と十分な社会的距離を保ち、その場の衛生状態に留意しなければならない。
5.病者訪問、病者の塗油の秘跡のガイドライン
家庭訪問の際は、司祭と在宅の信徒との間で感染が起こらないように、マスクの着用、手指の消毒、十分な社会的距離を保つなど、細心の注意を払わなければならない。
医療機関を訪問する場合、定められた指示があればそれに従い、病室から病室への移動には細心の注意を払う。高齢者施設などを訪問する場合も同様である。
司祭は、病者のいる部屋に入る前に、手を入念に洗うか、手指を消毒する。儀式の間、司祭は病者から社会的距離を保ち、身体への接触を避ける(病者に手を伸ばして沈黙のうちに祈る)。
司祭が指で病者に直接触れないよう、病者の油は事前に脱脂綿か綿棒にしみこませておく。
聖体授与のために家庭や病床を訪問する司祭、助祭、信徒の奉仕者は、清潔なテカ(ピクシス)を自ら準備する。聖櫃に触れる前は入念に手を洗うか、手指を消毒しなければならない。聖体をテカに収めたら、聖体の授与までは再びテカの蓋は開けない。必要に応じて、聖櫃の扉や鍵を消毒する。
いずれの場合も式文は使い捨て可能な紙に印刷し、使用後直ちに廃棄する。共用の儀式書、祈祷書、聖歌集は用いない。
テカは使用する度に中性洗剤で洗浄(消毒)し、よく乾燥させる。
6.通夜・葬儀のガイドライン
相互の感染を防ぐための基本的な留意事項はミサのガイドラインに従う。
参列者は互いに社会的距離を確保することが原則である。
式場では、誰もが使いやすい場所に消毒用アルコールを準備する。
記帳のための筆記用具はできるだけ共用しないようにする。共用する場合は、その都度、消毒したものを使用する。
一日に葬儀が複数回ある場合、式と式の間は十分な時間をおく。
司祭と奉仕者は、式の前後に手指を消毒し、遺族や棺との身体的接触は避ける。
遺族と参列者は握手や抱擁等の身体的接触を避ける。特に、そのような挨拶をする習慣がある国や民族の方の場合、周囲が適切に助言する。
共用の会衆用冊子は用いず、使い捨てできる印刷物で代用する。印刷物は隣の人と共用しない。
参列者による歌唱は控える。感染を防ぐため、十分な距離を保った上で先唱者が歌うことができる。必要に応じてオルガン演奏に代えることもできる。
ウイルス感染のリスクを高める咳を誘発する可能性があるため、香は省くことができる。
火葬場および墓地では、その場の規則を遵守する。
※この「カトリック教会における感染症対応ガイドライン」と別添①「感染症流行下における秘跡・典礼挙行のガイドライン」は、日本カトリック医師会および日本カトリック典礼委員会の監修のもと、作成した。
感染症に関する広報ガイドライン
別添②
○適切な情報収集に関して
情報収集は、公的機関の発表、カトリック医師会、医師、医療関係者の信徒等、信頼のおける専門家からに限定する。風説に惑わされない。
○情報の公開に関して
「出す情報」と「出さない情報」を適切に識別する。公表=全開示ではない。特に個人の匿名性の保護に注意する。
原則的に情報公開の必要があるのは「教会活動において新規感染者が発生した場合」。信徒が教会以外の日常生活、社会生活で新型感染症に感染した場合、それを公表する必要はない。
原則的に公表はオフィシャルサイトへの掲示という形で行う。感染者の人数が多い、複数小教区でのクラスターが発生等、事態が大きい場合は、各種メディアに対するプレスリリースの発表や記者会見も視野に入れる。※クラスターの定義は「5人以上」である。
教会内と教会外への公表は同時に行う。内部の人間(司祭、信徒)が「外部向けの発表で初めて知った」という事態は避けること。
風説、フェイクニュースの流布に対する対応も広報担当者の役割である。特に、インターネット、SNSへの書き込みに対しては、運営元への削除要請、IPアドレスの開示要請等、厳正な態度で臨む(顧問弁護士との連携も考慮する)。
※ この別添資料②は『新型コロナウイルスに関する危機管理広報初動マニュアル』(作成:株式会社井之上パブリックリレーションズ、監修:社会情報大学院大学教授 白井邦芳、2020年)をもとに作成した。
メモ
1 教皇フランシスコ「第4回 貧しい人のための世界祈願日メッセージ」(2020年11月15日)8 2 同6 3 A co-publication of the Pontifical Council for Interreligious Dialogue and the World Council of Churches, “Serving a Wounded World in Interreligious Solidarity: A Christian Call to Reflection and Action During COVID-19 and Beyond”, pp.4-5.