表紙、献辞、まえがき
ラディスラウス・ボロシュ著
希望に生きる ―キリスト教における未来の展望―
吉田聖・吉田雅雄 共訳
Ladislaus Boros
LIVING IN HOPE
エンデルレ書店/ヘンデル代理店
神を信じ人を愛し希望に生きるよう
自ら模範を示して
はぐくみ育ててくれた父母に
愛と感謝の心をこめて
本訳書をささげる
訳者しるす
著者まえがき
本書は人生の意味を「希望」という点から明らかにし、さらに神の問題を未来にかける人間の期待に照らして、諄々(じゅんじゅん)に説明しようとしたものです。キリスト教的探究の方向は、目下論じられていても決定的なものとならず解決されていないもの、すなわちこれから起こる未来のことに向けられねばなりません。と言うのも「希望」はキリスト者の生活にとって単なる「お題目」ではないからです。「希望」こそはキリスト教的生活に絶対なくてはならない条件です。「希望の神」は人間存在をキリスト教的に理解するための推進力です。わたしたちが希望のうちに未来に向かっているということ、これこそキリスト教のメッセージ全体の特徴です。同時にそれは教会と信者各人の生活の特徴でもあり、したがってまたキリスト教の神秘を黙想するうえでの特徴でもあるわけです。実に「希望」こそはキリスト者の生活・思想・祈りの向かうところであり、その目標とするところなのです。
キリスト教自体もつぎのような信仰内容に要約することができると思います。つまり「神は人間の希望を限りなく認められ、またそれよりも測り知れないほどすぐれておられるために、人間の心にあるもっとも無遠慮な野心や大望、夢などでさえも神と比較すると気が弱そうで臆病なものに見える」ということです。
このようなキリスト教的で、しかも希望にあふれた精神をもって本書の各章を静かに黙想しながら精読されれば、きっと人生の喜ばしい要素は何かまたこのような精神が有している未来の約束はなんであるかということもおわかりいただけると思います。
追伸
L・ボロシュ著(Ladislaus Boros)、吉田聖・吉田雅雄共訳、『希望に生きる(living in hope)』、エンデルレ書店、昭和48年